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令和二年に想う

さて令和二年はどんな年になるのでしょう。夜ベッドにはいって静かに目を閉じると、昔のことからついきのうのことまで、楽しかったことも後悔することも、あの時、二股の反対側を選んでいたら今はどんな人生を歩んでいるのだろう。人間の運命なんてサイコロを転がしているようなものなんだと、今になって感じても–。それを自分だけでなく友人、知人、いや会ったこともない人、歴史上のたくさんの人にまで拡げると–。面白いですね。

昨年は自然災害の多い年でしたが、今年も止められない地球の温暖化によってもたらされる何らかの自然災害はありそうな気がしています。それに動植物の何億年かにわたる生きざまを見たり人間の今までの歴史を見ていると、残念な予測ですが生き抜くための「戦い」は永久になくならないと思いますね。

動物も植物も人間も皆一緒くたにして、今生きているということはさまざまな戦いに勝ち抜いてきたからでしょう。この数十億年の間に–、いや人間のわずか数万年の歴史にでさえそれははっきり見てとれます。
「戦争はいやだ。絶対に阻止しよう」といくら叫んでも、世界のどこかで小競り合いくらいはしょっちゅう起こっています。それを国と国との対決のような大きなものにしないのが人間の知恵の出しどころ–ですか。

でもそんな中をかいくぐって「芸術」は生き続けて来ています。あの古代人の岩に彫り込んだ人間や動物の壁画、ホッとしませんか。

江口大象(書源2020年1月号より)

 
   

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